特許権を侵害する旨の通知があったとき(5)
ー無効理由の探し方ー

無効理由を探すに際して、できるだけ効率的に行なうためには、まずは、無効理由を構築する主たる公知文献(主引例)を特定することです。
主引例をどれで特定するかについては、対象となる特許権の請求の範囲(独立項)を分説して構成要件毎に分け、多数の構成要件を開示している文献にする、対象となる特許権の課題、効果を考慮し、そのような課題や効果を開示している文献にする、等、ケースバイケースとなります。
審査(審判)段階で取り上げられた引例を中心に検討していずれかを主引例とし、構成要件として足りない部分を調査する、というのが効率的と思われます。

また、調査するに際しては、例えば以下の点について考慮してみましょう。

(1)その特許は外国出願しているか否か

他国では、拒絶されていたり、或いは、特許されていても中間処理において多数の公知文献が挙げられ、日本とは異なって、かなり限定したクレームになっている可能性もあります。
無効理由として有力な資料が得られるかもしれません。

(2)その特許の技術分野について

その特許の技術分野に関し、秀でた技術を有する国もありますので、その国の特許文献等を重点的に調査してみましょう。特に、日本法人が存在しているような分野であれば、本社が存在する国に有力な技術文献(日本へ出願していない特許文献等)が存在する可能性があります。

(3)出願中の補正について

新規事項の追加等については特に注意する必要があります。これは、権利者側が、出願中、こちらの製品を考慮しつつ、中間処理の段階でこちらの製品を含むようなクレーム補正をしていることも有り得るからです。このようなケースでは、多少、無理な補正をしている可能性もあり、審査官もそのままスルーしていることがあります。
特に、審査段階で分割出願していたり、国内優先権を主張しているような特許権については、明細書の記載等、原出願との間で、改変された箇所を詳細に検討してみる必要があります。

自社の製品の販売時期と、相手方が分割(優先権主張)した時期や、補正した時期などを突きあわせると、何か見えるかもしれません。

なお、審査段階で一度も拒絶理由がかかることなく、いきなり許可されたような特許権は、無効にできる文献が多数検索できることがあります。逆に、何度か拒絶理由が通知されていたり、拒絶査定不服審判を請求して権利化されたもの、更には、特許異議申立や、無効審判が請求されても残っているような特許権は、無効にするのはかなり難しいと考えられます。

お気軽にお問い合わせください。
受付時間:平日 10時〜17時
TEL 045-478-4727
TOP