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分割出願について(2) ー分割出願が可能な時期・範囲、留意点ー
分割出願するにあたっては、その時期によって、出願当初の明細書、図面の範囲内でできるのか、或いは、直前の明細書、図面の範囲内でできるのか、違いがあるので留意する必要があります。
1.分割出願はいつできるか
(ア)親となる基礎出願について補正ができる時又は期間内
(イ)特許査定の謄本の送達があった日から30日以内(拒絶査定不服審判を請求して特許査定になったものは除く)
(ウ)最初の拒絶査定の謄本の送達があった日から3月以内
2.分割出願できる範囲
分割出願できる範囲については、上記(ア)~(ウ)で異なります。
上記(ア)の場合、出願当初の明細書、図面の記載事項となります。
上記(イ)の場合、直前の明細書、図面の記載事項となります。
上記(ウ)の場合、直前の明細書、図面の記載事項となります。
3.実務上、注意すべきこと
特許査定時における分割、及び、拒絶査定時の分割については要注意です。
(1)特許査定時における分割
特許査定の謄本の送達から30日以内であっても、特許権の設定登録がされてしまうと分割出願することはできません。これは、特許権が設定登録されてしまうと、特許出願はもはや審査に係属していないからです。
実務上、特許査定の謄本の送達があった後、年金を納付しておおよそ2週間以内に設定登録されてしまいます。具体的に、特許庁における設定の登録業務は金曜日となっており、月曜日(火曜日は怪しい)に年金を納付すると、その週の金曜日に設定登録されてしまいます(水曜日、木曜日の年金の納付は、翌週の金曜日になる可能性が高い)。
このため、年金を納付してしまった場合、少なくとも、その週の木曜日までに分割出願を完了する必要があります。
なお、このような分割出願は、緊急性があるため、特許査定時の明細書、図面のデッドコピーで分割出願を行ない、その後、請求項について自発補正を行なえばよいでしょう。
(2)拒絶査定時における分割
拒絶査定不服審判と同時に分割出願をするときは、出願当初の明細書、図面の範囲でできますが、審判請求と同時でない場合(審判請求しない場合も含みます)は、直前の明細書、図面の範囲となります。
(3)まとめ
特許出願中の拒絶応答など、明細書及び図面を補正するにあたり、記載内容に明らかな誤りがある場合を除いて、記載事項を削除する補正はしない方がよいでしょう。
これは、審査段階の補正時に、実施形態や図面を削除する補正をしてしまうと、上記(イ)(ウ)のケースでは、削除してしまった発明を復活させることができなくなってしまいます。
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